2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの発生・老化における癌原遺伝子の新たな役割の解明
Project/Area Number |
19679005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 洋子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80332500)
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Keywords | RAS / 癌遺伝子 / Noonan症候群 / 遺伝子診断 / 先天異常 |
Research Abstract |
申請者らは2005年にHRASの生殖細胞系列(受精卵に始まり全身に存在)での変異を先天奇形症候群であるCostello症候群で同定した(Aoki et al.,Nature Genetics,2005)。それに引き続き2006年にcarcio-facio-cutaneous(CFC)症候群の原因がKirsten-RAS(KRAS),B型RAFキナーゼ(BRAF)の生殖細胞系列の変異であることを世界に先駆けて報告した(Niihori,Aoki et al.Nature Genetics,2006)。この研究の目的は1)患者で同定された遺伝子変異を導入したモデル動物を作製し,癌原遺伝子の新しい役割を明らかにすることである。2)未だ遺伝子変異の明らかでない類縁疾患の新規原因遺伝子を明らかにすることである。 これまでにNoonan類縁疾患300人を収集し既知の原因遺伝子PTPN11,HRAS,KRAS,BRAF,MEK1/2,RAF1,SHOC2の包括的遺伝子解析を行い180人(60%)に遺伝子変異を同定した。新たに報告されたRAF1遺伝子をスクリーングするとともに,RAF1変異蛋白の活性化メカニズムを検討した。既知の遺伝子における変異陰性の類縁患者119人中18人に遺伝子変異を同定した。臨床症状の詳細な検討により他の遺伝子変異をもつヌーナン症候群に比べて肥大型心筋症と低身長の合併頻度が高いことが明らかになった。変異蛋白の機能解析にて,変異蛋白では抑制性のS259リン酸化が低下しており,RAF1活性抑制に重要な14-3-3蛋白との結合が低下し,その結果非刺激時にも下流のERKを活性化していることが明らかになった。さらにCFC症候群での血液腫瘍合併3例目として,生後早期に非ホジキンリンパ腫を発症した症例にBRAF遺伝子変異を同定した。
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