2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸による神経堤細胞の分化制御機構の解明と緑内障の新しい病態概念の確立
Project/Area Number |
19679008
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
稲谷 大 福井大学, 医学部, 教授 (40335245)
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Keywords | ゲノム / 生理活性 / 糖鎖 / 発生・分化 / 臨床 |
Research Abstract |
ラットを用いた緑内障濾過手術モデルを作成し、その創傷治癒過程で発現する炎症性サイトカインと成長因子の発現を解析した。免疫組織化学染色とRT-PCR、multiplex immunoassayによって、transforming growth factor-B(TGF-β)、fibroblast growth factor(FGF)、vascular endothelial grow thfactor(VEGF)、interleukin-8(IL-8)、monocyte chemotactic protein-1(MCP-1)の発現上昇をみとめた。これらの分子の中には、ヘパラン硫酸に結合する分子が多数みられ、ヘパラン硫酸を外的に注入することにより、これらの分子に対する細胞表面の受容体のリン酸化が抑制され、細胞増殖が抑制された。以上の結果は、線維芽細胞が活性化され、濾過胞が瘢痕化する反応をヘパラン硫酸が抑制させる効果が期待できる結果である。 神経堤細胞が毛様体上皮細胞、角膜実質細胞、角膜内皮細胞、線維柱帯細胞に分化する分子機構にヘパラン硫酸が必要であることをノックアウトマウスを用いた実験であきらかにした。毛様体上皮細胞への分化には、BMP-4とヘパラン硫酸の結合が密接に関わっていることと、角膜実質細胞、角膜内皮細胞、線維柱帯細胞への分化には、TGF-βとヘパラン硫酸の結合が不可欠であることがあきらかになった。
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