2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
稲見 昌彦 Keio University, 大学院・メディアデザイン研究科, 教授 (00345117)
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Keywords | バーチャルリアリティー / ユーザインターフェース / 認知科学 |
Research Abstract |
昨年度試作した強誘電性液晶を用いた高速シャッターデバイス「Stop Motion Goggle」(SMG)を用いた実験を継続して行った.SMGは視覚に働きかけるデバイスである.しかし他の前庭感覚,体性感覚が関係しているために視覚との矛盾が生じたのか,あるいは視覚のみの効果によって錯覚が生じたのかは現時点では定かではない.そこで,前庭感覚および体性感覚とSMGによる効果に関係の関係性に関し検討を行った. また,VR空間における移動感覚と視点位置変動との関係に関して「視覚・前庭感覚統合伝送システム」の試作を目指し,引き続き研究を行った. SMGを用いた実験では今回新たに左右のシャッターの位相を変化させることで,運動物体を観察したときの立体知覚に変化が生起することを新たに発見した.具体的には物体の見かけ上の運動速度に応じて奥行きが変化し,いわゆるプルフリッヒ効果として知られた現象と同様の効果を観察することができた.今回は観察者が静止した状態での実験であるが,運動時の被験者に両眼の位相変化を伴ったシャッター視覚提示を行うことで移動時の奥行きの強調,歩行時の運動知覚の強調,もしくは低減を行いうる可能性が示唆された. VR空間における移動感覚と視点位置変動に関しては仏研究機関と共同で研究を遂行し,VR空間での歩行動作時の提示環境による注視位置との関係を調べた.その結果,被験者の観察対象の奥行きに応じて注視位置を制御することで移動効果を損なうことなくVR酔いの少ない提示が可能であるとの内観報告が得られた. 今後は多数の被験者により上記結果の検証を行う予定である.
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