2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680014
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
作村 諭一 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 准教授 (50324968)
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Keywords | システム生物学 / 分子生物学 / 形態形成 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究課題は、神経細胞の極性形成と多細胞生物の体節形成の2つについて、自律的に対称性を破壊するメカニズムを明らかにすることを目的とする。 【神経細胞の極性形成】神経細胞は、分化の過程において1本の長い軸索と複数の樹状突起を形成して対称性を破壊し極性を獲得する。極性形成に関する新規生体分子Shootin1に関する実験データを研究協力者(稲垣直之 : 奈良先端大)から提供を受け、実験データをあらゆる側面から解析し、微分方程式の構築を行った。意図的な数理構造を採用せず、生物学的知見に基づいた関数を導入し、パラメータを実験データから近似した。現在、この結果を論文誌に投稿中である。 【多細胞生物の体節形成】均一な組織である体節原基から、分節境界という不均一な構造の形成によって、体節という不連続な組織がつくられる。その過程で分節境界は、いくつかの遺伝子の発現が振動することを利用して、等間隔パターンとして形成されると考えられている。これまでの研究から、振動分子の一つHes7は正確な等間隔パターン形成に必須であることが明らかになっている。今年度は、発現量が周期的に振動する生体分子Hes7やその他の機能分子の実験データを、研究協力者(別所康全 : 奈良先端大)から提供を受け、Hes7の役割、および周辺分子(Lfng等)の役割について、理論による予測と実験による検証を行っている。現在のところ、Hes7が振動のエンジンであるとともに、無情報の入力を整形してロバストな応答をする機構を持っていることが示唆されている。
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