2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680014
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
作村 諭一 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 准教授 (50324968)
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Keywords | システム生物学 / 分子生物学 / 形態形成 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究課題は、神経細胞の極性形成と多細胞生物の体節形成の2つについて、自律的に対称性を破壊するメカニズムを明らかにすることを目的とする。実験結果の再現のみならず、数理モデルからの予測と実験による検証を行い、数理面からの新規概念の抽出を行う。 【神経細胞の極性形成】神経細胞は、分化の過程において1本の長い軸索と複数の樹状突起を形成して対称性を破壊し極性を獲得する。実験データに基づいた定量的な極性形成モデルについて共同研究者と論文投稿を行った。論文投稿を通して研究の改善を進め、未だ投稿中であるが、ほぼ完成形となった。またモデルから予測される複数の未知の現象について実験を開始するとともに、モデルの理論的な解析によって極性形成のメカニズムが明らかとなり、データに基づく数理モデルの重要性を示すものである。この件について論文作成を行った。 【多細胞生物の体節形成】均一な組織である体節原基から、分節境界という不均一な構造の形成によって、体節という不連続な組織がつくられる。その過程で分節境界は、いくつかの遺伝子の発現が振動することを利用して、等間隔パターンとして形成されると考えられている。本研究では、振動遺伝子のHes7の周期特性に着目し、数理モデルによる実験結果の説明と、モデルからの予測の検証を行った。その結果、モデルが示すメカニズムの正当性を示すことができた。また、その周期特性が体節形成における役割についてモデルによる予測を行った。現在、これらの結果を論文にまとめている。また、細胞が集団を為すことによる機能の発現について、シミュレーション研究を行った。
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