2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680017
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 元雅 The Institute of Physical and Chemical Research, 田中研究ユニット, ユニットリーダー (40321781)
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Keywords | ポリグルタミン / アミロイド |
Research Abstract |
神経変性疾患において、原因蛋白質の凝集化とそれが細胞にもたらす影響には不明な点が多い。本研究では、申請者がこれまでに使用してきた酵母プリオンSup35を用いたレポーター系を用い、神経変性疾患の中でも原因蛋白質の凝集化(アミロイド化)と疾患発症の関与が指摘されているポリグルタミン病に着目し、ポリグルタミンの凝集とポリグルタミン病発症の相関解明を目的とする。また本研究を通して、新たな機能的アミロイドの発見を目指す。 異常に伸長したポリグルタミン鎖を含むハンチンチン蛋白質断片を大腸菌で発現、精製し、異なる温度でミスフォールドさせることで、二次構造が異なるアミロイド構造を形成することを明らかにした。また、これらアミロイドを高効率に培養細胞へ導入する手法を新規に開発し、異なるアミロイド構造が細胞毒性にもたらす違いについて検討した。その結果、脆弱な構造をもちβシート構造に富んでいないアミロイドが、強固なβシート構造に富むアミロイドに比べてより細胞毒性が高いことを見出した。また、これらアミロイドの構造多型は、ハンチントン病モデルマウス脳由来のアミロイドにおいても観察され、線条体のアミロイドがより高い細胞毒性を示した。この結果は、ポリグルタミンのアミロイド構造が疾患の部位特異性を決める一つの要因になっていることを示唆した。 機能性アミロイドに関しては、今年度、酵母由来の遺伝子ライブラリーを用いた遺伝学的スクリーニングなどにより、数個の候補遺伝子を明らかにした。それら蛋白質を大腸菌で発現、精製し、ミスフォールディングさせたところアミロイドを形成した。これらアミロイドがプリオンとして振る舞う可能性を詳細に検討中である。
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