2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680031
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
水品 善之 Kobe Gakuin University, 栄養学部, 准教授 (20307705)
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Keywords | 食品素材 / 栄養素 / DNA合成酵素 / DNA代謝系酵素 / 酵素阻害剤 / 抗がん活性 / 抗炎症活性 / 健康機能性食品開 |
Research Abstract |
本研究は3年目であるが、過去2年間と同様に食品素材や栄養素のDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ、pol)阻害活性物質を探索して、活性が見られた成分については、ヒト由来がん細胞増殖への影響調査やマウス耳を使った抗炎症活性測定を実施した。主な研究成果は次のとおりである。 ホウレン草やニガウリに含まれているグリセロ糖脂質MGDGがDNA複製型pol分子種を選択的に阻害して、がん細胞の増殖を抑制するが正常細胞には影響しないことを見出した【Cancer Lett. 2009】また、沖縄産の柑橘系果実であるノニ(Morinda citrifolia)の搾りカス(果皮や果実)からpol活性を指標に活性成分を単離・精製して、化学構造を解析した結果、アントラキノン系のMorindoneであり、本物質はがん細胞の増殖を抑制した【Food Chem. 2010】。 これらの結果から、pol阻害活性という科学的根拠に基づく健康機能性食品開発の基礎を見出すことができた。 本年度(H21年度)は、さらに次の2つの研究成果を得ることができた。 (1) 新しいDNA代謝系酵素阻害活性系としてIMPデヒドロゲナーゼ阻害活性を立ち上げることに成功した。そして、脂肪酸のうち炭素数20でシス型の二重結合を2つ持つエイコサジエン酸(eicosadienoic acid,20:2=11-14cis)が最も強い活性を示すことを見出した。 (2) DNA複製因子の機能阻害活性として、DNA複製開始制御因子であるCdt1タンパク質gemininタンパク質の結合阻害活性のアッセイ系を立ち上げて、食品素材・栄養素から活性物質をスクリーニングした。その結果、植物由来の含硫黄糖脂質Sulfoquinovosyl diacylglycerolなどにCdt1-geminin複合体形成阻害活性を見出すことができた。 これら研究成果は、学術論文として査読制度がある英文雑誌へ16報、日本語の雑誌へ3報を報告し、図書の分担執筆5冊、学会発表を34回行った。さらに3件の特許出願を行った。
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