2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680031
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
水品 善之 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (20307705)
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Keywords | 食品素材 / 栄養素 / DNA合成酵素 / DNA代謝系酵素 / 酵素阻害剤 / 抗炎症活性 / 抗がん活性 / 健康機能性食品開 |
Research Abstract |
最終年となる本年度(4年目)は、これまで(H19~H21年度の3年間)と同様に、脂溶性ビタミンなどの栄養素、植物由来の食品成分や非栄養素のDNA合成酵素(pol)を中心とするDNA代謝系酵素に対する阻害活性とその生理活性・生体機能調節活性・健康機能性を調査した。主な研究成果は次のとおりである。 (1)ビタミンK ビタミンKの各種誘導体を化学合成して、その構造活性相関の解析を行った。さらに、ビタミンK誘導体には、制がん作用に繋がる血管新生抑制活性があることを見出した。また、ビタミンK_3にはマウス抗原提示細胞(マクロファージ)(in vitro)やマウス血中(in vivo)において、リポポリサッカライド(LPS)で誘導される炎症マーカーであるTNF-αやNF-κBの産生抑制活性を見出したことから、pol阻害活性と抗炎症活性との関連が示唆された。 (2)食品廃棄物から単離・精製したDNA合成酵素阻害物質 サラダ油の製造工程で生じる廃棄物である菜種粗油と大豆脱ガム残渣(リン脂質画分)を出発材料にして、pol阻害物質を単離・精製し、化学構造を解析した。その結果、菜種粗油からはカロテノイドのLutein、大豆脱ガム残渣からはβ-Sitosteryl(6'-0-linoleoyl)-glucosideを見出した。これらはDNA修復型pol分子種だけを選択的に阻害して、ヒトがん細胞増殖抑制活性と抗炎症活性を示した。 (3)クルクミンとその誘導体 クルクミンとその誘導体モノアセチルクルクミンにはpolλ特異的阻害活性と抗炎症活性の関連について解析した。LSP刺激によってマクロファージは炎症マーカーであるTNF-αやNF-κBを放出するが、モノアセチルクルクミンはクルクミンよりもこれらの放出を強く抑えた。また、LSP刺激によってマクロファージのpolλ発現量は亢進するが、本物質を添加することで発現が抑制された。マウスへのOVA (chicken ovalbumin)皮膚感作による皮膚アレルギーモデルを用いた抗炎症活性試験で、モノアセチルクルクミンはクルクミンよりも良好な成績を示した。
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