2009 Fiscal Year Annual Research Report
環オホーツク海域における化学的変質過程を含めた鉄移送量の定量的評価
Project/Area Number |
19681001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西岡 純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 准教授 (90371533)
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Keywords | オホーツク海 / 鉄 / 物質循環 / 中層循環 / 化学形態 |
Research Abstract |
本研究は、オホーツク海から親潮域や西部北太平洋亜寒帯域へ移送される鉄分に着目し、供給・移送過程における存在状態とその変質および各存在状態の海水中での挙動を踏まえて鉄の移送量を定量的に評価する事を目的としている。平成21年度は、中層水によって移送される主要な画分である粒子態鉄の生物利用能を確認するために、8月-9月にかけて北太平洋亜寒帯域において現場実験を実施した。その結果、大陸棚起源の粒子態鉄は生物利用能を有すること、外洋においても粒子態鉄自体は生物利用能を保持していることが確認された。しかし、粒子態鉄濃度には空間的に大きな違いがあった。各海域の濃度レベルと植物プランクトンの要求量から検討すると、大陸棚付近とオホーツク海内部では、粒子態鉄が植物プランクトンの増殖を十分に支えるだけの鉄分を有しているが、北太平洋亜寒帯外洋域では、粒子態鉄の濃度は植物プランクトンの増殖を支えるには十分でないことが分かった。この結果は、オホーツク海大陸棚から西部北太平洋亜寒帯域にかけて、大陸棚起源の鉄分が輸送される際に、粒子態鉄の生物生産活動への寄与率が空間的に変化していることを示唆する結果である。オホーツク北西部大陸棚から中層水を介して北太平洋亜寒帯親潮海域に供給される鉄の定量的な評価を行うと、親潮域中層では3.1×10^5~6.3×10^5μmol Fe/m^2/yrの鉄分が運ばれ、そのうち28.6μmol Fe/m^2/yrが中層から表面に供給されていると見積もられた。
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Research Products
(5 results)