2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機スズ化合物および新規防汚塗料の環境動態および生物影響に関する研究
Project/Area Number |
19681005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大地 まどか 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40447511)
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Keywords | 有機スズ化合物 / 新規防汚塗料 / 生物影響 / 個体群動態 / 沿岸生態系 |
Research Abstract |
有機スズ化合物は、国際的に使用が規制された現在も沿岸域に残留し沿岸生態系への影響が懸念される。最近では有機スズの代替品による沿岸域の汚染が報告されているが、生物影響や沿岸域での挙動については不明な点が多い。また生物体内への環境化学物質の蓄積特性については、生態等の生物学的特性を考慮することが重要であるが、系統的な研究はこれまで皆無であった。本研究は、これまでに申請者が確立した水生生物を用いた環境保全研究手法を有機ズズ代替品に応用するとともに、野外調査により有機スズおよびその代替品の汚染状況を把握し、両化合物による沿岸生態系撹乱機構を網羅的に解明することを目的とする。本年度は、日本沿岸海域の各地点において海水、底泥、生物試料の定期サンプリングを行い、各試料中の有機スズおよび新規防汚塗料濃度を測定し、両化合物による汚染の環境動態を把握した。その結果、使用が規制された現在でも、海洋生物に影響を及ぼし得る濃度レベルの有機スズ化合物が存在し、さらにその代替品による汚染も進行していることが明らかになった。従って、今後も有機スズ化合物の汚染の継続と、新規防汚塗料による汚染の拡大が示唆された。本研究から、船底防汚塗料による海洋生態系撹乱の可能性と、その解明の必要性が示唆された。本成果は、現在国際誌に投稿中である。
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