2008 Fiscal Year Annual Research Report
固体における集団スピンのエンタングル状態の実現と集団量子計算の提案
Project/Area Number |
19681009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遊佐 剛 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40393813)
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Keywords | 量子情報 / ナノ構造 / 核スピン / 光物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体中の集団スピンの集団性を利用した新しい量子計算手法の提案とその物理現象の解明である。これまでほとんどの系で単一量子の制御を目指して研究が行われてきたが、最近、原子分光の分野で、10^<8-12>個程度のマクロな数の原子集団のスピンを1量子ビットとする試みが進んできた。本申請では、このような集団量子の特性を生かした新たなアーキテクチャを持った固体量子計算を提案し、実現を目指すことを目的とする。 本年度は、昨年度に引き続き、実際のデバイスと測定装置を作製した。特に測定装置の構築に関しては、ほぼ完成し、極低温(20ミリケルビン)、強磁場(8テスラ)環境でのフォトルミネッセンス測定が可能になった。実際のデバイス作製は、高品質の半導体ウエハが、なかなか得らなかった関係で、試料作成に関しては難航したが、占有率n=2/3の量子ホール状態を光検出し、電子スピン偏極に対応した発光スペクトルの変化を観測することができた。これにより、電流注入により集団核スピンと電子スピンの相互作用を顕著に発現させ、その集団核スピンの状態を光学的な情報として取り出すことが可能となった。また、試料近傍に作り込んだ電極に対し、パルスRF電磁波と、パルス傾斜磁場を効果的に印可することにより、集団スピンの局所的な情報を電気測定によって検出する手法についても一定の成果が得られた。それらの成果をまとめ、学会や論文誌等で発表を行った。
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