2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19681020
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
印南 秀樹 The Graduate University for Advanced Studies, 葉山高等研究センター, 准教授 (90444140)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子重複 / 進化 / 集団遺伝学 / 分子進化 / 遺伝子変換 / 酵母 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究課題では、遺伝子重複によって新しい遺伝子が創りだされる進化メカニズムをゲノムスケールで解明することにより、ゲノム進化とそれに伴う表現型進化を理解することを究極のゴールとする。ゲノムが遺伝子重複により新規機能遺伝子を獲得するときの、進化メカニズムの一般的法則を理解することにある。そして、その結果をもとに、新規機能遺伝子をゲノム中から探し出し、それらに対して集団遺伝及び分子進化解析を行うことにより、ゲノム進化のメカニズムの解明を目指す。本年度は重複した遺伝子が集団中に固定していく過程などに関する集団遺伝の理論的研究と、その応用としていくつかの種のゲノムデータ解析をした。応用範囲は、ハエ、イネ、魚に及ぶ。さらに、新規機能獲得遺伝子を同定するアルゴリズムの試運転をハエと酵母を用いて行った。その結果、ハエではトランスポーター遺伝子で、酵母では2つのヒートショック遺伝子で強いシグナルが見つかった。これらについて、新規機能獲得の進化的解析を行った。それによると、新規機能獲得遺伝子は、多くの近縁種にも共通にみられ、獲得イベントがそれらの種分化よりも古く、その後それぞれの種の進化のプロセスで新規機能遺伝子が自然選択の力で守られてきたことを示唆する。本年度の成果として最も重要なことは、同定アルゴリズムが機能することが確かめられたことである。これをもとに、さらに改良し本研究プロジェクトの後半につなげたい。
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