2007 Fiscal Year Annual Research Report
日独の民事司法における裁判補助-経験的データによる比較研究
Project/Area Number |
19683001
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
前田 智彦 Sapporo University, 法学部, 准教授 (10292806)
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Keywords | 民事司法 / 司法制度改革 / 裁判所職員 / 司法補助官 / 民事実務改善 / 倒産手続 / 非訟手続 / 裁判官の独立性 |
Research Abstract |
平成19年度は、まず7月下旬にドイツ、フンボルト大学で行われた法社会学の国際学術大会(International Conference: Law and Society in the 21st Century)において研究代表者前田の日本の裁判所書記官に関する先行研究成果を要約的な英語論文の形で公表した。これは本研究でのドイツの裁判所関係者に対する調査依頼にあたって、日本での研究実績を英語論文で示すためである。 次に、上述の大会からの帰国後、予備調査の計画・実施に入った。平成19年9月から法社会学者(村山眞維、ダニエル・フット、太田勝造の各教授)ならびにドイツでの在外研究経験のある民事訴訟法研究者(垣内秀介准教授)との面談で調査計画について助言を得た。 平成20年2月20日から28日にかけてベルリン自由大学のHubert Rottleuthner教授の仲介の下で、ベルリン(都市州)の裁判所関係者に対する面接調査ならびに現地での文献調査を実施した。面接調査では、Rechtspfleger養成の責任者であるRoland Bottcher教授(ベルリンおよび近隣2州のRechtspflegerの養成担当のFachhochschule学部長)、Rechtspflegerの最大の職業団体であるBDRのBerlin支部長Ruth A. Heinrich女史、書記長Jurgen Volkmann氏、ベルリン最高裁(Kammergericht)でRechtspflegerの人事・継続教育を担当するGroB裁判官の4氏に対する面接調査が実現し、それぞれからRechtspflegerの人事、養成ならびに継続教育、職業意識について広範な情報を得た。また、Fachhochschuleならびに職業団体(BDR)の協力の内諾を得て、Rechtspflegerやその候補生に対して質問票調査を広く実施する見通しを得ることができた。文献調査でも、職業団体の機関誌などを精査することができ、職業団体が過去に実施した職業意識調査の結果など、今後の面接調査・質問票調査の実施にあたっての貴重な情報を得た。 ドイツでの予備調査からは、Rechtspflegerの職務上の独立性が、裁判所における役割を理解する上でも、また彼らの職業意識の上でも鍵となっており、本研究に職業社会学的な観点が欠かせないことが明らかになった。
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