2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19683003
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 恵子 Senshu University, 経済学部, 准教授 (40353528)
|
Keywords | サービス業 / M&A / 生産性 / 直接投資 / 産業集積 / 国際情報交換 / 多国籍 |
Research Abstract |
サービス貿易に関する統計や国境を越えた企業買収、直接投資などのデータから、日本の非製造業については、国際化の遅れが著しいことが分かった。欧米などでは、製造業企業が製造以外の業務を海外にアウトソーシングすることによって、コスト削減や業務の効率化などを積極的に進めてきたのに対し、日本の製造業企業では、そのような動きがあまり見られない。アメリカやアイルランドなどの先行研究では、サービス業務の海外へのアウトソーシングが国内製造業の生産性を高めたという結果が提出されている。しかし、日本については、そのような効果は認められなかった。日本ではなぜサービスの国際化が進まないのか、また、日本企業がなぜサービスの海外アウトソーシングによる生産性の向上を達成できないのかについては、企業のビジネス慣習や言語などいくつかの理由が挙げられるだろう。しかし、サービスの国際化を促進することによって生産性を高めるというメカニズムを利用できていないことに対し、問題意識を持つべきであろう。 企業買収の動向については、日本では国内企業どうしの買収・合併が近年大幅に増加したのに対し、国境を越えた企業買収・合併は、欧米諸国と比較してまだ非常に少ない。主要国における国際的な企業買収の決定要因を分析したところ、比較優位を持つ産業の企業が他国の企業を買収する傾向が強いことが見いだされた。つまり、国際的な企業買収の活発化は、各国の比較優位産業に属する企業の成長を促進する可能性がある。これは、世界レベルでみれば効率性の向上をもたらすであろうが、国家レベルでは比較優位を持たない産業に属する国内企業の淘汰が進むことを示唆しているともいえる。このような状況に対し、どのような産業政策をとるべきか、より活発な議論が必要である。
|
Research Products
(4 results)