2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19683003
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
伊藤 恵子 専修大学, 経済学部, 准教授 (40353528)
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Keywords | 外資系企業 / スピルオーバー / 生産性 / 対内直接投資 / 非製造業 |
Research Abstract |
外資系企業の参入は、国内の雇用や付加価値の増大にどれほど貢献したかを分析し、その上で、外資系企業の参入が国内企業の生産性に正のスピルオーバー効果をもたらしたかどうかを分析した。近年、外資系企業の参入は増加傾向にあっが、外資系企業が国内の雇用や付加価値、生産性の増大にどれほど貢献したのかは、データの制約もあり、十分な検証が行われていない。そこで本研究では、『企業活動基本調査』の個票データを活用し、外資系企業の参入による効果を統計的に分析した。諸外国における先行研究のほとんどが製造業のみを対象としているのに対し、本研究は、卸売・小売、情報サービスといった非製造業企業も含んだ、大規模な企業レベルデータを用いて実証分析したものである。 分析の結果、製造業・非製造業ともに、国内企業の生産性に対する外資系企業の正のスピルオーバー効果は認められなかった。ただし、企業固有の属性により高い生産性成長率を実現している企業は、同一産業の外資系企業から正のスピルオーバー効果を受けていることを示唆する結果であった。製造業においては、技術フロンティアから遠い企業ほど、外資系企業からの学習効果によって長期的には生産性を向上させる可能性が高いことも示唆された。しかし、非製造業ではこのような効果が認められず、非製造業においては、外資系企業の参入が企業間の生産性格差を拡大させる可能性がある。つまり、対内直接投資のスピルオーバー効果は産業や企業の属性に依存して異なり、均一ではないことが示唆され、正のスピルオーバー効果を実現するにはどのような要因が重要であるのか、さらなる分析・研究が必要であることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)