2007 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットテレビ電話を用いた心理臨床在宅支援システムの開発
Project/Area Number |
19683006
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
長江 信和 The International University of Kagoshima, 福祉社会学部, 講師 (80449959)
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Keywords | 臨床心理学 / インターネット / 認知行動療法 / PTSD / カウンセリング / アセスメント / コンサルテーション / ネットリサーチ |
Research Abstract |
1. 遠隔支援に伴う法的・倫理的課題の検討 検索エンジンの検索結果上位に表示される,相談機関のウェブサイトを抽出し.ネットカウンセリングや倫理指針の情報の有無について,月次調査を進めた。また,関連諸学会の倫理綱領や関連法規を精査し,法律家の助言も受けながら,ネット上の心理的援助の制限と課題について明らかにした。 2. 東京都心部住民を対象としたネット調査 千代田区民を対象としてメンタルヘルスと受診経験に関する調査を行った。対象者183名のうち,過去30日間に何らかの不安/気分障害が疑われる者は25%であった。不安/気分障害が疑われる者は,比較的,生活機能障害が著しいにもかかわらず,医療機関の受診を希望するケースや受診に至るケースが少なかった。 つづいて,千代田区民・中央区民を対象として,メンタルヘルスと受診経験,受診阻害要因に関する調査を行った。対象者782名のうち,過去30日間に何らかの不安/気分障害の存在が疑われる者は25%であった。また,過去一ケ月にPTSDの発症が疑われる者は6%であった。対象者のうち,医療の専門家よりも家族や友人・知人への相談を望むケースが多く,対人関係や精神の問題が生じた際に公的相談機関を利用すると予想する者は少数であった。医療機関への受診行動に対しては,症状の重さや障害度,主観的幸福感などではなく,受診態度の影響が強く認められた。 サンプルの偏りを考慮に入れても,東京都心部には,一定数の要援助者が潜在していることが推測された。現状では,地域の精神保健資源が十分に活用されているとはいえず,ネットを介した遠隔支援の有用性は大きいと考えられた。 3. 遠隔支援の試行 千代田区の行政広報誌に広告を掲載し,本研究用のウェブサイトを公開して,要援助者に対する精神保健資源の情報提供を開始した。また,希望者に対しては,ネットカウンセリングによる相談体制を整えた。
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