2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19683007
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 由美子 The Institute of Physical and Chemical Research, 象徴概念発達研究チーム, 客員研究員 (20399447)
|
Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 |
Research Abstract |
言語の重要な構成要素である単語や文は、要素を特定のルールで連ねたり並べ替えたりする能力を要する系列学習の産物として捉えることができる。本研究では、ヒトと同じく、様々な項目からなる系列を産出する生態学的必要に迫られている種であるジュウシマツを用い、系列産出時の系列構造化能力について検証することを目的とした。今年度は、Beran et al. (2004)の手続きを用いて、ジュウシマツに3項目からなる色刺激を手がかりとした系列反応を獲得させる訓練を行った。その結果、全ての個体で3項目系列が獲得され、獲得までに要したセッション数には、雌雄差は見られなかった。この後、獲得された系列が、個々の項目間の連鎖化のつみかさねとして獲得され、継時的に産出されるのか、あるいは、学習した系列の全体の構造を事前にプランニングして産出されるのかについて、3種のテスト、場所移動テスト、マスクテスト、ワイルドカードテスト、によって検討した。場所移動テストでは、第1反応完了後、第2, 第3反応の刺激提示位置が交換され、マスクテストでは、第1反応完了後、第2, 第3反応の刺激が消され、ワイルドカードテストでは、3つの刺激のうち、いずれか一つが未定義の色に変わって提示された。プランニングするならば、各種のテストで一貫して元の刺激提示位置に従った反応が示されるはずで、連鎖化ならば、各テストの結果は、変更された刺激に従うか、ランダムになるはずである。テストの結果は、場所移動テストでは雌雄とも移動後の場所に従った反応、マスクテストではプランニングによる反応が示唆された。ワイルドカードテストでは、オスはプランニング、メスはランダムな反応が示された。以上の結果から、条件によってはジュウシマツがヒトと同様に、前もって全体の系列反応場所をプランニングする傾向があることと、オスではその傾向がより強い可能性が示されたといえる。
|