2008 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ連続波観測のための大規模TESボロメータアレイの開発
Project/Area Number |
19684003
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大島 泰 National Astronomical Observatory of Japan, 野辺山宇宙電波観測所, 助教 (40450184)
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Keywords | サブミリ波天文学 / ボロメータ |
Research Abstract |
本年度は、TES(Transition Edge Sensor)ボロメータを極低温に冷却するための冷却システムの整備を重点的に行った。この冷却システムは、無冷媒の機械式冷凍機である4Kパルスチューブ冷凍機を用いた液体ヘリウム温度までの冷却系、および、ヘリウム3とヘリウム4を用いた多段式の吸着型の極低温冷凍機により構築した。ボロメータは、極低温に冷却する必要がある一方で、振動に非常に敏感なため、振動を発生する機械式冷凍機を用いる際には熱接触と振動抑制という相反する条件をクリアする必要がある。そこで、振動抑制と良好な熱接触を両立するためのベローズを用いた防振構造および線材を用いて振動の伝導を抑制した。特に、この線材には、高純度銅の用いることで高い熱伝導度を持った熱リンクを実現した。また、TESボロメータの温度計であるTESおよび、その読み出し素子であるSQUID(超伝導量子干渉計)は外部磁場に非常に感度が高いため、高透磁率材料および超伝導材料を併用した多重の磁気シールドを製作して極小磁場の環境を実現した。さらに、ボロメータの最適化に必要な大気からの熱ロードについて、既存のボロメータの観測データを系統的にかつ詳細に解析することによって、大気の状態の変動によるその変化の大きさを明らかにすると共に、これを考慮したTESボロメータの設計を行った。上記の成果およびTESボロメータの設計手法について国内学会および国際学会において発表を行うと共にTESボロメータを用いた観測システムの情報収集を行った。
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