2008 Fiscal Year Annual Research Report
低バックグラウンド微細飛跡検出器による大深度地下実験室での暗黒物質探索実験
Project/Area Number |
19684005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (80362440)
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Keywords | 大深度地下 / 宇宙線 / 素粒子実験 / 宇宙物理 / 放射線、X線、粒子線 |
Research Abstract |
平成20年度は(1)神岡地下実験室に設置した30cm角マイクロTPCの詳細な性能評価及び(2)高感度化、(3)これを用いた暗黒物質探索実験、(4)大容積検出器開発のための低バックグラウンド材料の選別、を行った。 (1) 30cm角マイクロTPCの詳細な性能評価として、神岡地下実験室においてガンマ線除去能力、検出効率、検出飛跡の角度分解能の測定を行った。特に角度分解能の測定に関しては同様の実験を行う世界の他グループに先鞭をつける研究となり、結果を論文として公表(Astroparticle Physics.31 (2009) pp185-191)した。 (2) 30cm角マイクロTPCの高感度化として、現在の検出器の暗黒物質への感度を制限している、検出器内部の放射性不純物からのバックグラウンドへの対策を行った。神岡地下実験室で6カ月以上の長期間の測定によって、検出器内部の放射性不純物のうちで、ウラン・トリウムなどの放射性同位体からのアルファ線、さらに検出器有功体積中ヘガスとしての混入するラドン原子核が主たるバックグラウンド源であることが判明した。これらの影響を低減する装置の動作パラメータをシミュレーション及び実測によって求めた。 (3) で求めた動作パラメータによって、30cm角マイクロTPCを用いて、神岡地下実験室で3カ月間の測定を行った。この結果、マイクロTPCの高感度化に成功、これまでに我々が達成していた方向に感度を持っ暗黒物質探索実験の世界記録を更新した。 (4) 2007年度までに製作した、シリコン検出器を用いたラドン検出器用いて材料選択を行った。この結果、ほとんどの構成材料からはラドンの検出が確認されなかったが、一部の材料からはラドンの放出が確認されたため、大型マイクロTPC製作はこれらの材料を除いて設計を行うことに決定した。
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