2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19684011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野瀬 佳文 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (80436526)
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Keywords | 異常ホール効果 / 強磁性 / 熱伝導 / ビーデマンフランツ則 / ローレンツ数 / 熱ホール効果 / 非散逸性 / 非弾性散乱 |
Research Abstract |
本研究では、強磁性体における異常熱ホール効果の研究を行っている。本年度は、熱伝導測定系を建設し、NiとNi/Cu合金の熱ホール効果の測定を行った。その結果、磁化に比例する熱伝導度を観測し、異常熱ホール効果の観測に成功した。得られた熱ホール伝導度から電気ホール伝導度と熱ホール伝導度の比であるホール成分のローレンツ数を、磁化に比例する異常項と磁場に比例する正常項のそれぞれに対して導出した。その結果、最低温では二つのローレンツ数はビーデマンフランツ側が定める定数と一致し、異常ホール効果に関するビーデマンフランツ側が初めて確かめられた。温度が上昇すると、正常項に関するローレンツ数は、非弾性散乱の影響で大きく減少するが、異常項は低温ではほぼビーデマンフランツ則が示す一定値をとる。このことは、異常ホール流が非弾性散乱の影響を受けにくいことを意味しており、異常ホール流の非散逸性の証拠の一つであると考えられる。
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