2007 Fiscal Year Annual Research Report
周波数時間分解分光法を用いた量子位相振幅情報の読み出し
Project/Area Number |
19684014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
香月 浩之 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 助教 (10390642)
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Keywords | コヒーレント制御 / フェムト秒分光法 / 波束ダイナミクス / パルス波形整形 |
Research Abstract |
今回の研究課題では、分子の電子励起状態中のいくつかの振動固有状態に異なる振幅、位相を持った初期波束を作成する。このためには励起に用いる超短パルスレーザー光の波形を制御することが必要となる。このための装置としてCRi社製液晶空間位相変調器を購入した。グレーティングでパルスを分散させ、周波数の違う成分ごとに異なった変調をかけることで、パルスの時空間波形を制御するための装置を設計し、パルス制御のための制御プログラムを開発した。これにより、波長ごとの振幅制御や任意の値のチャープの導入、ダブルパルスの作成等自由度の高いパルスの波形整形が既に可能となっている。作成されたパルスの評価のために、Kerr効果を用いたPolarization Gate-FROG装置を作成した。これらの装置によって、分子制御に用いるフェムト秒パルスの設計、評価が適切にできるものと考えている。検出器として使用するために、Andor社製のCCDカメラを購入した。既存の分光器と組み合わせて、蛍光スペクトルを周波数分解しながら測定することができるよう現在計測プログラムを作成中である。 以上とは別に、既に動いているポンププローブ蛍光測定装置を用いて、電子励起ポテンシャル上を運動する振動波束に近赤外のフェムト秒パルスを打ち込み、波束の各構成要素である振動固有準位の振幅と位相を測定する実験を行った。近赤外パルスの照射によって、各振動準位に固有のポピュレーションのビートが観測された。近赤外パルスによって、振動波束内でのポピュレーションの再分布が起きている可能性があり、現在解析を実行中である。
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