2008 Fiscal Year Annual Research Report
周波数時間分解分光法を用いた量子位相振幅情報の読み出し
Project/Area Number |
19684014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
香月 浩之 Institute for Molecular Science, 光分子科学研究領域, 助教 (10390642)
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Keywords | コヒーレント制御 / 超高速分光 / 量子干渉 |
Research Abstract |
CCDディテクタと分光器を組み合わせた測定系を用い、気体サンプル分子からの蛍光およびCARS(コヒーレントアンチストークス)信号を周波数分解しながら測定することに成功した。実験を重ねた結果、極低温クライオスタット中に固定したサンプルからのシグナルを測定する場合には、自然放出である蛍光シグナルよりもコヒーレントなシグナルが得られるCARSの手法の方が、実験装置の形状から、より検出に適していると判断されるため、以降の立ち上げではラマン遷移によって波束を作成し、計測する方法を念頭に開発を行った。 波束への情報の書き込みに用いる位相ロックダブルパルスを作成するための高安定マイケルソン干渉計を新たに作成した。従来のものを改良して、パルス間相対位相のスキャンをクローズドループピエゾステージで行う手法に変更したことで、より安定にダブルパルス問の位相を調整できることが確認された。さらに、独立した二色のレーザー光を全く同じ光学パスで重ねて干渉計を通過させることにより、全く同じ遅延時間を持った、二色のパルスペアを生成することに成功した。今後の水素での実験ではこの干渉計を用い、600nmと800nmのパルスペアで2個のラマン波束を作成し、それらを干渉させる。この装置を用いて、気体水素分子でv=1励起状態のCARSシグナルを得ることに成功した。 一方、極低温装置中での測定の準備として、固体水素サンプルを作成するための極低温クライオスタットの立ち上げを完了し、光学測定に耐えうるクラックの少ない結晶をバルクなサイズで安定して作成することに成功した。今後、固体水素サンプルを用いてラマン波東間の干渉制御を行い、周波数分解されたCARSスペクトルの計測を行う予定である。
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