2008 Fiscal Year Annual Research Report
複数トレーサー解析による混合水域中層の起源水成分の分布と変動の解明
Project/Area Number |
19684016
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
清水 勇吾 Fisheries Research Agency, 東北区水産研究所・混合域海洋環境部, 主任研究員 (10371791)
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Keywords | 海洋物理 |
Research Abstract |
平成20年3月に親潮域に投入したオプトード(光化学式酸素センサー)付き等密度追従型フロート4台のうち3台は予想通り三陸沿岸の親潮貫入から混合水域〜黒潮続流域に南下した.残り1台は釧路周辺に漂着したため回収したが,点検・整備して9月に親潮域で再投入し,その後,沖合の親潮貫入から混合水域に南下した.これら4台は混合水域〜黒潮続流域に適度に分散しながら東に進み,平成21年3月末には東経150〜164度に達した.これら4台のフロート観測によって,今後の研究実施に必要不可欠な水温・塩分・溶存酸素資料が順調に得られ続けている. 平成20年度末までのフロート観測資料を用い,(1)投入点で行ったCTDおよび採水による水温・塩分・溶存酸素値との比較から,フロートの各センサーが有効に機能し,本解析に十分な観測精度があること,(2)複数トレーサー解析による混合比推定法を適用した結果,東北沿岸の親潮貫入の中層(26.7〜27.3σ_θ)には黒潮成分は少なく(概ね20%以下),中層上部(26.7〜27σ_θ)ではオホーツク成分,中層下部(27〜27.3σ_θ)では東カムチャツカ成分が優勢に出現すること,(3)混合水域では黒潮成分が概ね約40〜60%出現するが,オホーツク成分や東カムチャツカ成分のように密度には顕著に依存しないこと,混合水域の東経150度以東の中層下部にはほとんどオホーツク成分が見られないこと(概ね10%以下)などが明らかとなった.(2)・(3)より,千島列島周辺の海底地形や鉛直的な水塊構造の違いなどによりオホーツク海から混合水域への海水流入は中層上部に限定されていることが示唆される.
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Research Products
(5 results)