2009 Fiscal Year Annual Research Report
高圧相転移カイネティクスの含水量依存性と沈み込む海洋プレートの非平衡ミネラロジー
Project/Area Number |
19684019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 友明 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (40312540)
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Keywords | 相転移カイネティクス / 原子拡散 / レオロジー / 含水量 / 準安定オリビン / 上下マントル境界 / 高圧X線回折時分割測定 / 非平衡ミネラロジー |
Research Abstract |
本研究では沈み込むプレートやマントルを構成する海洋地殻玄武岩とかんらん岩について、鉱物中に微量に含まれる水に着目しながら、相転移と流動に関する実験的研究を行った平成21年度は主に以下の研究を中心に行った。 1) 沈み込む海洋地殻玄武岩の非平衡ミネラロジーと密度、深部ダイアモンドの上昇プロセスの解明 相転移カイネティクス実験、および関連する原子拡散実験に基づき、エクロジャイトからガーネタイトへ相転移する深さ500km程度までの海洋地殻玄武岩の非平衡ミネラロジーと密度変化、それらの温度依存性を定量的に明らかにし(Nishi, D論)。さらにその逆反応のカイネティクス実験に基づいてダイアモンド包有物に含まれる玄武岩物質の反応組織を解釈し、深部ダイアモンドのマントル遷移層からの上昇履歴を制約した(Nishi et al., GRL in press) 2) 低含水量下でのかんらん岩成分の相転移カイネティクス、準安定オリビンの存在と上下マントル不連続面の性質 100-300wt.ppm程度の含水量下で、オリビンーリングウッダイトおよびポストスピネル相転移カイネティクス実験を行い、準安定オリビンの深さと含水量の関係(Kubo et al., EPSL2009)、上下マントル境界のマントルの流れに関する考察(Kubo et al., 連合大会、AGU2009)を行った。 3) マントル遷移層鉱物の原子拡散とマントル遷移層のレオロジー ウオズレアイト、リングウッダイトのSiおよび0の原子拡散、水や鉄の効果を明らかにし、遷移層の流動機構と粘性率を考察した(Shimojuku et al., EPSL2009, PEPI投稿中)。さらにガーネットの原子拡散実験を進めた。 4) 放射光を用いた2次元X線回折時分割測定による高圧相転移カイネティクスと塑性流動の研究 変形高圧プレスと放射光X線観察を組み合わせ、相転移率、結晶粒数、応力、歪みなどのその場時分割測定を行い、高圧相転移の核生成と成長のカイネティクス、それらと塑性流動とのカップリングに関する実験を進めた(Kubo et al., AIRAPT2009, Doi et al, AGU2009)。
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