2007 Fiscal Year Annual Research Report
X線の小・中角散乱とリバースモンテカルロによるナノ空間内の分子混合状態の解明
Project/Area Number |
19685002
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
飯山 拓 Shinshu University, 理学部, 助教 (30313828)
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Keywords | ナノ空間 / クラスター / 分子混合 / X線回折 / X線小角散乱 / リバースモンテカルロ / 多孔性固体 / ゆらぎ |
Research Abstract |
ミクロな構造情報の実測法であるX線小角散乱法(SAXS)およびX線回折法(XRD)に,計算機科学の一手法であるリバースモンテカルロ法(RMC)を組み合わせ,ナノ空間中の分子混合状態の決定法を確立するという目的を達成するために,今年度はXRDによる実験検討とSAXS測定を行うための装置の拡張・立ち上げを行った。XRDでは,細孔内の分子混合状態を検討するための基礎的実験として,活性炭素繊維(ACF)中の二酸化炭素単成分の構造解析を行った。二酸化炭素はバルク状態においては常圧で固相,気相の2相のみを示すが,ACF細孔(細孔径1.36nm)中においては常温(300K)付近ではアモルファス,または液体様の構造に由来するブロードな回折ピーク形状を示すことがわかった。さらなる検討が必要であるが,温度を下げると細孔中の二酸化炭素も結晶相に転移することも示唆された。また,この測定においてXRDの小角端の強度は大きく変化しており,SAXS領域の散乱強度に吸着相の状態変化に関する情報が含まれていることがわかる。この測定,および前年度までに行ったACF-エタノール系の測定等により,吸着系のX線散乱強度測定についてのノウハウが十分に得られたので,これを基に測定領域の小角側への拡張を行った。装置の納入,および吸着測定のための測定機器の製作がほぼ完成し,次年度より実際の測定を行う。本実験により,二酸化炭素のような無機小分子についても細孔内分子の構造解析が行えるようになった。今後,SAXS測定によって得られるゆらぎの知見を加え,細孔内に複数種の分子が同時に存在するナノ混合系について検討を進める。
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