Research Abstract |
1) ホウ素の空のp軌道とπ共役骨格のπ*軌道とのp_π-π*共役をもつπ共役骨格として, 一連のペンタアリールボロール誘導体の合成とX線結晶構造解析に成功し, これらがいずれも基底一重項反芳香族性をもつことを実験的に初めて明らかにした. 2) また, 1,2-ジボリン骨格をもつ新規π共役骨格をもつ化合物として, 3, 3'-ビジオフェン骨格をジボランで架橋した化合物を新たに合成し, さらに, そのジアニオン種の単離にも成功した. これらの化合物の構造特性および光物性などの基礎特性評価を行い, 前年度に合成した2, 2'-ビジオフェン骨格をジボランで架橋した化合物との比較により, ジボラン骨格のp軌道を介したπ共役様式について興味深い知見を得た. 3) 分子内CT性遷移に基づく発光性有機ホウ素材料のための新たなホウ素置換基として, ホウ素上に, 2,6-ジメチルフェニル基の4位, または3, 4位にフェルフルオロブチル基を導入したアリール基を二つ導入したC4F9B基およびcyC4F8B基を開発した. これをホウ素置換基として導入した4'-ジフェニルアミノ-4-ボリル-2, 2'-ビフェニル誘導体をモデル化合物として合成した. 光物性測定の結果, 従来のMes_2B基をホウ素置換基としてもつものに比べて, C4F9B基およびcyC4F8B基を導入すると, 吸収スペクトルおよび発光スペクトルは長波長シフトすることがわかった. さらに, 発光色において特に著しく大きな溶媒効果を示すことが明らかとなり, その発光色は溶媒効果だけで青色から赤色まで可視光領域全域にわたって変化させることが可能であることがわかった.
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