2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高速電位ジャンプ法を用いた電子移動・電極反応ダイナミクスの赤外分光解析
Project/Area Number |
19685006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山方 啓 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 助教 (60321915)
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Keywords | 時間分解赤外分光 / 疎水性相互作用 / 反応ダイナミクス / 電気二重層 / 水和殻崩壊 / 疎水性水和殻 |
Research Abstract |
電極表面反応を理解するためには、電位を変えた際の界面近傍にある水分子や水和分子の構造変化を時間分解観察する必要がある。そこで、本研究では、電位を高速変化させた際の界面分子の構造変化を時間分解赤外分光法を用いて測定した。我々は、COが吸着したPt電極界面でテトラプロピルアンモニウムイオン(Pr_4N^+)を含む電解液の中で、電位を負に掃印すると、界面のPr_4N^+濃度が増加し、Pr_4N^+のまわりに疎水性水和殻に帰属される水素結合した水のバンド強度が増加し、さらに電場強度を強くすると、イオンが表面に押しつけられて、COの上にある水分子が押し出され、同時に水和殻が崩壊する様子を観測している。本研究ではこの過程を時間分解観測した。 その結果、電位を高速にステップした後、電気二重層の充電時間で電流が流れ、この時定数で界面に電場がかかっていることを吸着COの振動数変化から確認した。また、疎水性水和殻の水の強度は充電時間とほぼ同じ時定数で増加し、その後、ゆっくりとバンド強度が減少し、水和殻が崩壊することを観測した。COの上の孤立した水分子が減少する速度は水和殻崩壊の速度よりも若干速く、COの上の水分子が無くなってから水和殻が崩壊することを明らかにした。また、この水和殻の崩壊速度は、電位依存性があり、電場が強くなるにつれて速くなることを見いだした。 固液界面で、分子の水和殻の崩壊過程は、水和分子と表面との直接相互作用を引き起こす最初のステップである。本研究では、時間分解赤外分光法を用いることでこの水和殻の崩壊過程を実験的にはじめて観測した。
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