2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19685008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (20273477)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 水素化 / 芳香族化合物 / ナフタレン / キノリン / テトラリン / 光学活性化合物 / ルテニウム |
Research Abstract |
本年度は以下の2つの項目について研究を実施した。 (1) ナフタレンの触媒的不斉水素化平成19年度に、2, 6-あるいは2, 7-ジアルコキシナフタレンの触媒的不斉水素化が不斉配位子PhTRAPのルテニウム触媒を用いることにより最高92%eeで進行することを見出した。しかし、水素化生成物のアルコキシ基をアルコールへ脱保護することは不可能だった。そこで、脱保護可能な置換基によって保護されたジヒドロキシナフタレンの触媒的不斉水素化について検討した。一般に広く利用されるアセチルならびにシリル保護基をもつ基質の不斉水素化は全く進行しなかった。しかし、テトラヒドロピラニル基により保護された2, 6-および2, 7-ジヒドロキシナフタレンはPhTRAP-ルテニウム触媒によって円滑に水素化され、それぞれ87%ee, 86%eeの水素化生成物を与えた。このテトラヒドロピラニル基はメタノール中、p-トルエンスルホン酸で処理することにより容易に除去された。 (2) キノリンのベンゼン環選択的な触媒的不斉水素化平成19年度の結果を受け、PhTRAP-ルテニウム錯体を不斉触媒として8-メトキシキノリンの触媒的不斉水素化を試みた。その結果、5, 6, 7, 8-テトラヒドロー8-メトキシキノリンが位置選択性93%、84%eeで得られた。また、本触媒系は様々な8位置換キノリンの触媒的不斉水素化に対しても良好な位置選択性およびエナンチオ選択性を示した。
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