2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19685010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 浩靖 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (00314352)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 遷移金属錯体 / 超分子 / 触媒 / 立体選択性 / 抗原抗体反応 / 光学活性 / 不斉認識 |
Research Abstract |
本研究では優れた分子認識能を有する生体高分子「抗体」を用いて、その抗原結合部位を利用した特異的な反応場を構築する。人工系において有用な触媒として用いられている有機金属触媒に結合するモノクローナル抗体を作製し、有機金属錯体と抗体との機能性ハイブリッド錯体を合成し、基質選択的・立体特異的な触媒機能を追及する。昨年度までに得られた知見を基に、本年度はさらに立体特異的な反応制御を目指して遷移金属イオンと配位可能なキラル化合物(キラル配位子)に対するモノクローナル抗体を作製した。光学活性化合物であるビナフチル誘導体を抗原決定基として設計した。ビナフチル誘導体のR体あるいはS体をそれぞれキャリヤータンパク質に導入することによって合成された抗原に対して、特異的に結合する抗体がマウス体内で産生されていることがわかった。単離されたモノクローナル抗体は光学異性体の関係にある2つの化合物のうち、一方の光学異性体を特に強く結合することが明らかになった。 本年度はさらに別種の光学異性体を有するルテニウムートリスビピリジン錯体に対するモノクローナル抗体を作製することにも成功した。このルテニウム錯体は3つのビピリジン誘導体の配位する位置によってΔ体とΛ体の2種類の位置異性体が存在する。両者の混合物を免疫してモノクローナル抗体を作製した。得られたモノクローナル抗体はルテニウムに配位しているリガンドのうち少なくとも2つのリガンドの位置を精密に認識していることが示唆された。
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