2009 Fiscal Year Annual Research Report
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19685010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 浩靖 Osaka University, 大学院・理学研究科, 講師 (00314352)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 遷移金属錯体 / 超分子 / 触媒 / 立体選択性 / 抗原抗体反応 / 光学活性 / 不斉認識 |
Research Abstract |
本研究では抗体の抗原結合部位を利用して特異的な反応場を構築することを目的に、人工系において有用な触媒として用いられている有機金属錯体に結合するモノクローナル抗体を作製してきた。本年度はこれまでに作製した亜鉛ポルフィリンに特異的に結合するモノクローナル抗体、遷移金属錯体の配位子として利用されているビナフチル誘導体の一方の光学活性種に対するモノクローナル抗体、およびルテニウムトリスビピリジンを取り込むモノクローナル抗体について、これらの機能を探究した。(1)ポルフィリンに結合する抗体と亜鉛ポルフィリンとの錯体に電子アクセプターであるメチルビオロゲンを白金コロイド存在下で添加し、この水溶液に可視光を照射すると水素が発生することを見出している。この水素発生効率は現存するポルフィリン-蛋白質錯体の中で最も高いことがわかった(Bull. Chem. Soc. Jpn 2009, BCSJ Award Article)。(2)一方の光学異性体を厳密に認識するモノクローナル抗体を作製することで簡便な新規光学分割法を構築した。本研究ではビナフチル誘導体のS-体に強く結合する抗体をセファロースビーズに固定化し、ここにビナフチル誘導体のラセミ体を通すことで一方の光学異性体を高い光学純度で精製できることを見出した。さらに本抗体存在下、ナフトールの二量化反応を行うと、二量化生成物(ビナフトール)に一方の立体異性体(S-体)が多く含まれることがわかった。(3)ルテニウムトリス2,2-ビピリジン-4,4'-ジカルボン酸に対するモノクローナル抗体は金属錯体の立体異性体Δ体とΛ体と異なる親和力で結合し、一方の立体異性体の発光特性が抗体結合により変化することがわかった。
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