Research Abstract |
分子サイズのサブナノ空間を有する固体の創製は,空間が表面とは異なる分子凝集・変換場を与えるといった学術的観点,高効率な物質貯蔵・変換プロセスを可能とするといった工業的観点より興味深い.我々は,アニオン性無機金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレート(マクロアニオン),カルボキシレート架橋金属三核錯体(マクロカチオン)及び一価カチオンを構成ブロックとして,サブナノ空間を有するイオン性結晶の構築を行ってきた.イオン性結晶A_2[Cr_3O(OOCC_2H_5)_6(H_2O)_3]_2[α-SiW_<l2>O_<40>](A=Na,K,Rb,NH_4,Cs,TMA)の単結晶及び粉末X線構造解析を行った結果,これらの化合物は層状構造を有していた.A=K,Rb,NH_4,Csの化合物は類似の構造を有し(monoclinic,C2/c),親水性チャネルと疎水性チャネルを併せ持っていた.両チャネルの孔径と体積は,一価カチオン(A^+)の大きさに伴い変化した(例えばK^+(γ=1.52A)をCs^+(γ=1.81A)に変えると,疎水性チャネルの孔径と体積は2.5×5.lA,23±3μlg^-1から4.0×5.2A,30±3μlg^-1へと増加した).これらの化合物について,分子収着量と収着速度及び収着状態の分光学的検討を行った結果,水,ハロカーボンはそれぞれ親水性チャネル,疎水性チャネルに,アルコールは両チャネルに収着され,分子収着量と収着速度は,両チャネルの孔径と体積に応じて系統的に変化した(Inorg.Chem.2008)
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