2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジアリールエテン-金微粒子複合系での電導性光スイッチング
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19685013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 建児 京都大学, 工学研究科, 教授 (80262145)
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Keywords | 分子コンダクタンス / 交換相互作用 / ニトロキシドラジカル |
Research Abstract |
分子コンダクタンスで重要なトンネリング電導は、分子長に従って指数減衰する挙動をとることが知られており、そのため分子ワイヤーの電導特性は減衰定数βの値によって特徴付けられる。本研究では、ニトロニルニトロキシドラジカルを2個有するビシクロ[2. 2. 2]オクタンを持つオリゴフェニレン分子ロッドを作成し、その交換相互作用を測定することによりパラフェニレン分子ワイヤーの減衰定数β値を求めることを目的とした。オリゴフェニレンだけでは、ESRスペクトルにより交換相互作用を測定するための分子長が非常に長くなるために、剛直なビシクロ[2. 2. 2]オクタンで相互作用を調節した。ビシクロオクタンの左右にフェニレンが1つずつのもの、左に1つ右に2つのもの、左右に2つずつのものの3種類を合成した。ニトロキシドラジカルのESRスペクトルの線形のシミュレーションにより、交換相互作用の値は、真空のg値とボーア磁子で規格化した値としてそれぞれ、120G、16G、1.4Gと求められた。フェニレンの分子長を4.4Åとして求めた減衰定数βの値は0.51Å^<-1>となり、コンダクタンスから求められた文献値(0.42Å^<-1>)や電子移動から求められた文献値(0.32Å^<-1>)とよい一致を示すことがわかった。本方法は、電荷を持たない中性ラジカルを用いているために、ホッピングメカニズムを考慮しなくて良いために、トンネリング機構を精密に調べる上で、有用な手法になると考えられる。
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Research Products
(5 results)