2007 Fiscal Year Annual Research Report
固体塩基を用いる環境調和型新規電解反応システムの開発およびその応用展開
Project/Area Number |
19685014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 稔樹 Tokyo Institute of Technology, グローバルエッジ研究院, 特任助教 (50361770)
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Keywords | 非コルベ反応 / 固体塩基 / 有機電解合成 / 活性点分離 / 後続化学反応 |
Research Abstract |
反応基質であるカルボン酸と固体塩基の酸塩基反応に基づくイオン種を支持塩とする、見かけ上支持塩を必要としない新規非コルベ反応システムの開発に成功した。この非コルベ反応システムに基づき、プロリンやアラニン誘導体の非コルベ反応を高収率で行うとともに、通常煩雑な操作を必要とする非コルベ生成物(メトキシ化体)の精製を、固体塩基のろ過およびそれに続くろ液の濃縮という極めて簡便な操作で達成した。また、一般に塩基は陽極で容易に酸化を受けるが、固体塩基は陽極で酸化を受けず非コルベ反応において再利用可能であることも明らかにした。本研究成果は、廃棄物を排出しない有機電解合成システムとしてグリーンケミストリーに大きく貢献するものと期待される。 一方、固体塩基が陽極で酸化を受けないことから、「固体に固定化された試薬は電極で酸化および還元を受けない」という有機電解合成における活性点分離の概念を提唱した。さらに、有機電解合成における活性点分離の概念に基づき、固体に固定化された試薬が用いる有機電解反応における後続化学反応の促進効果について検討を行った。その結果、α位に電子求引基を有するスルフィドやp-メトキシベンジルアルコールの電解酸化反応における脱プロトン化過程を、固体塩基を用いることにより促進することに成功した。本研究成果は、固体塩基による脱プロトン化過程の促進効果のみならず、多くの有機電解反応において後続化学反応を固体に固定化された試薬により促進可能であることを示唆するものであり、その学術的意義は非常に大きいものと考えられる。
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