2007 Fiscal Year Annual Research Report
新奇構造を有する機能選択的タンパク質迅速検出・標識・分離解析システムの構築
Project/Area Number |
19685015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
比能 洋 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (70333333)
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Keywords | 自殺基質 / 機能選択的 / 特異的阻害 / 触媒部位の同定 / ラベル化 / 非特異的阻害 / 活性化速度 |
Research Abstract |
本研究で酵素の機能選択的捕捉法として選択した自殺基質は被認識(基質)部位とタンパク質捕捉(機能)部位に分類される。標的酵素群として同一の自殺基質構造で応用可能な加水分解酵素を選択し、その中から利用価値が高いと予想されるシアリダーゼをモデル酵素とし、自殺基質の酵素捕捉部位構造の変化と機能変化の関係を検討した。まず、捕捉部位の芳香族環に直接結合している官能基を変化させたところ、大きく阻害活性が変化した。検討した構造の中ではトリアゾール環を芳香族環に付加した構造が最も強い阻害活性を示したことから、sharplessらが開発したトリアゾール環形成反応による機能性部位構造のライブラリ化を行い、機能評価を行った。その結果、劇的な活性向上は確認されなかったが、様々な酵素ごとに異なる阻害強度変化パターンを示すことが確認され、個々の酵素に対する特異性を引き出すために本法が利用できることが示された。また、これらの構造と阻害能の関係から、自殺基質機能の改良と官能基特性の関係を抽出し、より捕捉能の高い機能部位構造を設計した。 また、これまでの自殺基質を用いたタンパク質のラベル化位置に関する解析結果と、既存の結晶構造データを比較することにより、従来と異なる阻害標的残基の抽出を行い、その阻害標的方向に様々な化合物を連結したフォーカスドライブラリーを作成した。本法を2種の感染症関連酵素に対して検討したところ、いずれも既知の阻害剤を大きく上回る阻害能を有する化合物を得ることに成功した。現在、他の疾患関連酵素に本法の試すと共に、内外の研究機関と共に本化合物を用いた創薬研究の可能性を模索中である。
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