2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度に選択的なリチウムイオン輸送を目指す有機ホウ素系電解質のイオニクス
Project/Area Number |
19685018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松見 紀佳 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40323745)
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Keywords | 有機ホウ素化合物 / アニオンレセプター / リチウムイオン / イオン液体 / 高分子固体電解質 / ゲル電解質 |
Research Abstract |
ホウ素による効果的なアニオントラップによって系内のリチウムイオン輸送の選択性を高めうる系として、シクロデキストリンを利用したホウ素多置換型マクロサイクルを設計し、合成を検討した。多くの有機ホウ素ユニットが協同的に作用することによりアニオントラップ能をさらに高めることが可能であると期待できる。 α-、β-、γ-、の3種のシクロデキストリンに関して6位をTBSClを用いてTBS保護したのち、それぞれのグルコースユニットに対して小過剰量のメシチルジメトキシボランを80℃において反応させたところ、β-、γ-シクロデキストリンを用いた場合に対応するホウ素多置換型マクロサイクルを得ることに成功した。得られた化合物はTHFやクロロホルムなどの一般的な有機溶媒に可溶であった。それらの構造は^1H-、^<13>C-、^<11>B-NMRスペクトルにより決定した。 また、得られたホウ素多置換型マクロサイクルを1-エチル-3-メチルイミダゾリウムTFSA、LiTFSAと混合したリチウムイオン輸送マトリックスを作製したところ、白色のろう状固体が得られた。十分な減圧乾燥後にイオン伝導度を交流インピーダンス法により測定したところ、例えばγ-シクロデキストリン由来のホウ素多置換型マクロサイクル、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムTFSA、LiTFSAを0.125:1:0.5のモル比で混合した系では51℃におけるイオン伝導度は5.8×10_<-4>Scm^<-1>であった。リチウム箔を両電極に用いて電解質を挟み、直流分極法による測定を行なったところ、電流が観測され、リチウムイオンがキャリヤーイオンとして移動していることが実際に確認された。
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Research Products
(4 results)