2008 Fiscal Year Annual Research Report
窒化アルミニウムpn接合ダイオードの発光・受光特性評価
Project/Area Number |
19686003
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
谷保 芳孝 NTT Basic Research Laboratories, 機能物質科学研究部, 研究主任 (20393738)
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Keywords | 結晶工学 / 結晶成長 / 先端機能デバイス / 半導体物性 / 光物性 |
Research Abstract |
窒化アルミニウム(AlN)では、負の結晶場分裂エネルギーに由来してエキシトン発光の電場ベクトルEがAlNのc軸方位(E//c)に強く偏光するため、光取り出し面を従来のc面からm面にすることで、光取り出し効率を25倍増加できることを予測してきた。本年度、m面AlNの結晶品質を高めることに成功し、その予測値に近い、従来のc面AlNと比べて20倍も強い発光強度が得られた。 そこで、このAlN特有の偏光特性を活かした発光ダイオード(LED)構造の設計を行った。従来の矩形メサc面AlN-LEDにおいては、強いE//c偏光特性により、c面となるメサ上面からの光取り出し効率は低い。そこで、光取り出し効率の高いm面となるメサ端面からの光取り出しを高めるため、櫛形メサのLEDを作製したところ、従来の矩形メサと比べて、3倍強い発光強度が得られた。AlNの偏光特性を考慮して、今回作製した両メサ形状における光取り出し量を計算したところ、櫛形メサの方が矩形メサよりも3.6倍発光強度が強くなることを見積り、実験値との良い一致を確認した。この結果、c面AlN-LEDにおいては、櫛形メサ構造が有用であることを提案した。 一方、AlN中の転位が発光特性に与える影響を調べた。AlNの転位密度を低減することにより、エキシトン発光強度が増加することを確認し、転位は非発光再結合センタとして働くことを明らかにした。転位による非発光再結合レートを計算したところ、内部量子効率の増加には、転位密度の低減に加えて、ホール注入量の増加が重要であることを示した。
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