2008 Fiscal Year Annual Research Report
Deal-Grove理論に代わる新しいシリコン熱酸化速度理論の構築とその応用
Project/Area Number |
19686005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邉 孝信 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (00367153)
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Keywords | 表面・界面 / 電気・電子材料 / ナノ構造形成・制御 / 分子動力学法 / 並列計算機 |
Research Abstract |
本研究では、40年来の定説となっていたDeal-Grove理論に代わる、シリコン熱酸化の新しい運動理論を構築する。本年度は、過去の様々な実験データを再現するよう理論を拡張するとともに、分子動力季法による熱酸化プロセスシミュレーションでナノスケールシリコン構造体の複雑な酸化プロセスを予測する技術を開発に取り組んだ。更に、研究代表者の熱酸化速度方程式が、Geの熱酸化に適用できるかどうか検討を始めた。その結果、以下の成果を得た。 (1) 新理論の拡張 研究代表者が提案した新理論の枠組みで酸素分圧依存性を定式化することに成功し、酸化膜とシリコン基板の界面付近の歪みを帯びた層内で、酸素分子の拡散係数が酸素分子濃度依存性を有することで、一過去の実験デーダを説明できることが判明した。 (2) ナノスケールシリコン構造体の熱酸化プロセスシミュレーション 研究代表者が有するSi, O混在系用の分子動力学シミュレーション技術を用いて、酸化膜で覆われた円筒型シリコン結晶モデルを作成し、酸化膜およびシリコン結晶部分の歪分布を解析した。その結果、8〜12nm径のナノワイヤでは、残ったSiコアの径が2.5nmを切ると平坦な基板の界面遷移領域の歪みを上回ることが判明し、これらの条件下では同じサイズのSiコアを残して自己停止することを示唆する結果が得られた。これは過去の実験報告と定量的にも概ね一致している。 (3) Geの熱酸化機構の検討 Ge, O混在系用原子間相互作用モデルを開発し、GeO2/Ge界面の大規模モデルを世界に先駆けて実現した。GeO2/Ge界面の歪みはSiO2/Si系に比べて小さいことが判明し、Geの方が本質的には良好な界面を形成しうることが示唆された。このことは、他機関による最新の実験データとも一致しており、Siに代わる高性能のトランジスタ材料の有力候補としてGeへの関心が一層高まると予想される。
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