2009 Fiscal Year Annual Research Report
Deal-Grove理論に代わる新しいシリコン熱酸化速度理論の構築とその応用
Project/Area Number |
19686005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 孝信 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (00367153)
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Keywords | 表面・界面 / 電気・電子材料 / ナノ構造形成・制御 / 分子動力学法 / 並列計算機 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに開発した熱酸化プロセスシミュレータを用いて、ナノスケールSi構造体の酸化自己停止現象の再現に取り組んだ。さらにGeの酸化シミュレーションも実施し、Si系と比較した。 ・ナノスケールSi構造体の酸化自己停止シミュレーション 円筒状シリコン結晶の表面に酸化膜を形成し、酸化膜およびSi結晶部の歪を評価した。その結果、(1) 酸化膜厚が増加するとともにSi02/Si界面付近のストレスが上昇すること、(2) 界面のストレスの値は残ったSiコアの大きさでほぼ決まること、(3) 残りのSiコアの直径が約2nmとなったところで、平坦なSi02/Si界面のストレスを超えること、などが明らかとなった。このうち(3) の結果は、過去に報告された酸化自己停止の実験結果と定量的に一致しており、界面付近のストレスを評価することでその後の酸化速度を予測できる事を示唆している。 ・Geの熱酸化シミュレーション 前年度に開発したGe,0混在系用原子間相互作用モデルを用いて、代表的な3種類の結晶面のGe基板、すなわち、Ge (100)、Ge (110)、Ge (111)面の熱酸化シミュレーションを実施した。(1) 酸化膜部のストレスならびに界面欠陥密度の基板面方位依存性がSi系と定性的に同様であること、(2) それらの値は全体的にSi系よりも小さいことが判明した。詳しい解析の結果、(3) Ge系の方がGe04正四面体構造の結合角歪が小さい事、およびGe-0-Ge架橋酸素構造の平衡角が小さい事が、良好な界面を形成できる原因と判明した。
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