2008 Fiscal Year Annual Research Report
アト秒軟エックス線パルスの発生と計測に関する理論的研究
Project/Area Number |
19686006
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石川 顕一 The Institute of Physical and Chemical Research, 臓器全身スケール研究開発チーム, 上級研究員 (70344025)
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Keywords | 高性能レーザー / 量子エレクトロニクス / 計算物理 / 高次高調波発生 |
Research Abstract |
高次高調波(フェムト秒レーザーパルスに照射された原子から波長変換によって発生する奇数次の倍波)発生はこれまでおもに波長800nm前後のチタンサファイアレーザーで行われてきた。これに対して水の窓領域(2〜4nm)やkev領域のアト秒軟エックス線パルスの発生をめざし、光パラメトリックチャープパルス増幅等による中赤外高強度レーザーの開発が国内外で進められている。そのために重要な鍵を握る、高次高調波の基本波長依存性について、世界にさきがけて詳細な検討をおこなった。昨年度、量子経路の干渉により高調波収量ははげしく振動することを見出したが、特に本年度はこれとチャネルクロージングとの関連について調べた。まず自然に浮かぶ疑問として「何が振動の周期を決めているか」があるが、これについて基本波長800〜2000nmのかつてない広範囲での調査から、波長のかわりに、チャネルクロージング数(ポンデロモーティブエネルギーだけシフトしたイオン化ポテンシャルを超えて電離するのに必要な光子数を表す無次元数)Rをパラメーターにとると、振動の周期がRの値がちょうど1だけ変化するのに対応していることが分かった。しかもRを用いて波長依存性を表すと、ピークの位置や依存性カーブの構造も、基本波強度にあまり依存しないことが分かった。また、既存の解析的理論である高強度場近似ではピークの位置はRの整数値になると考えられていたが、時間依存シュレーディンガー方程式で計算するとピークシフトがあり、これはクーロンポテンシャルの長いテールの影響であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)