2010 Fiscal Year Annual Research Report
集光フェムト秒レーザーが蛋白質溶液および細胞に引き起こす非線形現象の制御
Project/Area Number |
19686007
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
細川 陽一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任准教授 (20448088)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 原子間力顕微鏡 / 蛋白質 / 細胞 / 衝撃波 |
Research Abstract |
高強度の近赤外フェムト秒レーザーパルスを水に集光すると、多光子吸収によりその集光点で爆発的な水の形態変化が誘起され、衝撃波およびキャビテーションバブルが発生する。本研究では、この衝撃波およびキャビテーションバブルの発生過程で生じる衝撃力を原子間力顕微鏡(AFM)により検出できるシステムを構築し、その評価を行ってきた。本年度は、フェムト秒レーザー誘起衝撃力をAFM探針により定量評価した結果を用いて、細胞に荷重される衝撃力の大きさをシミュレーションにより評価し、細胞と力の相互作用に関する理解を深めた。特に、血管内皮細胞に白血球が吸着した共培養系における血管内皮細胞と白血球の接着力の評価、タイトバッキングした上皮細胞の培養系における上皮細胞同士の接着力の評価を詳細におこなった。その結果、これらの培養系における細胞間の接着形態が全く異なるにも関わらず、同じ基準でそれらの接着力が評価できるという、これまでにない画期的な方法論の確立に至った。この成果は大きく評価され、主たる成果は米国アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of USA)に掲載され、朝日、読売、産経など6社以上の新聞に報道された。さらに現在、この研究を発展させ、生体組織内の内部応力を定量評価するための新たな計測手法を確立していこうと考えている。生物の発生段階において、その形状形成の方向性はまず組織内の内部応力分布として反映される。AFM探針を生体組織にコンタクトさせて、そこに衝撃力を付加し、その後のAFM探針の振動挙動を解析することにより、従来になかった新しい生体組織の評価方法が確立できると考えられ、今後この方針でこの研究を発展させていきたいと考えている。
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Research Products
(18 results)