2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形フォトニック結晶による深紫外コヒーレント光源の開発
Project/Area Number |
19686009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 振一郎 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 助教 (20391865)
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Keywords | フォトニック結晶 / 非線形光学デバイス / 第二高調波発生 / 波長変換 / ナノ微細加工 / 深紫外コヒーレント光源 / 光バンド構造 / 群速度制御 |
Research Abstract |
本研究の目標は、光と物質との間の相互作用を高度制御する非線形フォトニック結晶を用いることによって、新たなアプローチからこれまで存在しなかった深紫外小型高性能コヒーレント光源を開発することである。平成19年度は、フォトニック結晶機能と高非線形性光学結晶とを融合させる新しい素子構造(縦型ヘテロ・非線形フォトニック結晶)を提案することにより、難加工性の問題をクリアーする高精度な素子作製技術の確立を目指した。フォトニック結晶を利用した光非線形性素子の定量的な実証研究が進んでいなかった最大の理由は、LiNbO_3結晶などに代表的される高非線形性材料の難加工性にあり、2次元フォトニック結晶のようなナノレベルの極微細構造を高精度に作製することが困難であったためである。本研究ではこの問題を克服するため、2次元フォトニック結晶スラブ層と非線形光学材料層を上下に構造的に分離し、且つ光モード的に結合させた従来にない独自の素子構造(縦型ヘテロ・非線形フォトニック結晶)を用いることを提案した。この構造を用いることによって、非線形特性に優れた高非線形性LiNbO_3結晶を用いて、ナノ微細加工技術により高精度な2次元フォトニック結晶導波路を作製することに初めて成功した。本素子に対する光学特性評価として、広帯域角度分解分反射スペクトル測定を行い、素子の実験的光バンド構造を定量的に評価し、実験的なバンド分散関係を直接明らかにした。またさらに並行して3次元時間領域差分(3D-FDTD)法を用いた理論的光バンド構造を算出し、その対応関係により、非線形2次元フォトニック結晶素子が極めて正確に作製されていることを定量的に実証した。さらに低群速度、及び位相制御により、高効率波長変換デバイスなどの高性能な新しい光非線形機能素子の創出が可能であることを示した。
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