2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形フォトニック結晶による深紫外コヒーレント光源の開発
Project/Area Number |
19686009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 振一郎 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 助教 (20391865)
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Keywords | フォトニック結晶 / 非線形光学デバイス / 第二高調波発生 / 波長変換 / ナノ微細加工 / 深紫外コヒーレント光源 / 光バンド構造 / 群速度制御 |
Research Abstract |
本研究の目標は、光と物質との間の相互作用を高度制御する非線形フォトニック結晶を用いることによって、新たなアプローチからこれまで存在しなかった深紫外小型高性能コヒーレント光源を実現することである。本年度は、極めて高い非線形性能を有するニオブ酸リチウム(LiNbO_3)単結晶をもちいて非線形2次元フォトニック結晶導波路素子を作製し、同素子を用いて光の速度(群速度)を減速し、レーザー光と物質との間の相互作用を大きく増幅させることにより、深紫外光領域における第二高調波発生強度の大幅な増大実証に初めて成功した。この新たな高効率波長変換技術の開発によって、相互作用が弱く高効率な動作が従来困難であった波長領域(深紫外光領域)でも実用レベルの波長変換が可能となり、半導体レーザーダイオードでは実現できていない小型高性能な未踏波長コヒーレント光源開発実現の可能性が開かれた。 またさらに非線形分極のナノレベル制御技術を開発し、面内導波タイプの位相整合条件を満たした2次元χ^<(2)>非線形フォトニック結晶素子を作製することで、極めて高い波長変換効率を達成した深紫外・小型コヒーレント光源の動作実証に世界で初めて成功した。2次元χ^<(2)>フォトニック結晶における深紫外領域のSHGスペクトル(325nm)を観測し、SHG変換効率を定量化した結果、変換効率11.5%/W、規格化変換効率で1157%/W/cm2という波長変換における極めて高い性能指数が得られた。 以上の成果は本研究で提案した非線形2次元フォトニック結晶を用いた小型高性能な深紫外レーザー光源の実現性を実証するものであり、学術上の重要性だけではなく、産業界に対しても大きなインパクト・波及効果をもたらすことが期待される。
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