2007 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導ナノ細線構造による超高速単一光子検出技術の研究
Project/Area Number |
19686010
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
福田 大治 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計測標準研究部門, 研究員 (90312991)
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Keywords | 超伝導材料 / 超精密計測 / 量子効率 / 超光速 / 低温検出器 |
Research Abstract |
量子ドットによる単一光子発生技術や量子光コンピュータの分野では,高精度に単一光子レベルの微弱な光パルスを検出・制御する技術が求められている。本研究では,この技術の実現を目指し,局所的常伝導転移を用いた超伝導ナノ細線構造による超光速単一光子検出技術の開発を目指した研究を行っている。本年度は,本研究の初年度ということもあり,本デバイスを実現するための基礎的な知見を得るための試み,すなわち,超伝導体のナノ細線構造の試作と電流電圧特性の評価,および,高量子効率実現に向けた取り組みを行った。まず,単一光子入射に伴って局所転移を起こすのに必要な条件を求め,この結果を元に膜厚を5nm以下でナノ細線構造をもつ超伝導薄膜を電子線描画装置により作成した。作成した薄膜は,10K以下で超伝導特性を示し,また臨界電流も500uA以上が得られ,光子検出器として良好な特性を持っていることを確認した。さらに,本薄膜をキャビティによる光閉じ込め構造によって挟みこむことにより量子効率がどの程度まで改善できるかの検討を行った。光学薄膜と超伝導体の複素屈折率を分光エリプソーメータで求め,この材料データを元に汎用計算機コードにてキャビティ構造の最適化を行ったところ,反射率は0.1%以下にまで抑えられることが分かった。今後,光検出素子と光ファイバーとの損失を低減できれば,99%以上の量子効率が実現できる見通しを得ることが出来た。以上,これらの結果は,学会発表や論文等で積極的に成果報告した。
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