2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール固液界面制御による高信頼エネルギーシステム材料設計技術の開発
Project/Area Number |
19686012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 研 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (40396461)
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Keywords | 応力腐食割れ / 反応ダイナミクス / 量子分子動力学法 |
Research Abstract |
エネルギー機器用構造材料のオーステナイト合金,Ni基合金の応力腐食割れ(SCC)現象のメカニズムを検討する目的で,量子分子動力学法を用いて原子拡散を伴う固液界面反応ダイナミクス解析を行った.21年度は,酸化物/金属(Fe)界面における応力依存の拡散現象について量子分子動力学解析を行い,オーステナイト合金の表面構造変化について検討した.Fe_3O_4/Fe界面では無ひずみ,室温環境においても酸素が金属内部に拡散し,界面酸化が生じる様子が観察された.また,引張ひずみを負荷することにより酸素の内方拡散が増加し,金属の内部酸化が著しく進行した.一方,Cr_3O_4/Fe,SiO_2/Fe界面では比較的安定な界面構造が得られ,これら酸化物はFe_3O_4よりも健全な酸化物/金属界面構造を形成することが示唆された.SCCによるき裂進展はき裂先端における物質移動,化学反応が重要な加速因子と考えられるが,皮膜中にCrやSiの酸化物を形成させることにより皮膜/母材界面における拡散,化学反応を抑制することが耐SCC性の向上に有効であると考えられる.しかし,引張ひずみ及び点欠陥(空孔),ランダム粒界の存在により,酸素の内方拡散のみならず,金属層中Fe原子が酸化物層内に取り込まれていく様子が観察されたことから,ひずみによる増速拡散現象,点欠陥,粒界による結晶構造のゆらぎがSCCメカニズムの重要な因子であることが確認された.
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Research Products
(3 results)