Research Abstract |
本年度は,本研究の基礎となる貫通した多孔質層の性質として,流体の透過係数を計測し,また形成技術を確実なものとした.具体的には,貫通した多孔質を透過する空気および水の流量を計測した.空気を用いた実験から,厚さ10-20μmの範囲内では,貫通多孔質層は均質なものとして考えてよいことが分かった.水の場合,1気圧の圧力差で吸引部表面では500μm/s以上の流速が得られることが観測された.微細孔の直径を電子顕微鏡により測定し,円管近似により流速を計算した結果,オーダーは一致するものの,円管近似の方が大きくなることが分かった.計算値と実測値で差が生じたが,多孔質層内部の複雑な構造によるものと考えれる.また,従来シリコンが湿式エッチングにより加工していたが,プラズマエッチング利用の可能性を検討し,部分的に利用できることが分かった. 一方,吸引固定デバイスは,試料を誘導するため,また,溶液等の蒸発を防ぐために,流路およびカバーが必要となる.そこでチップの流路を兼ねた蓋構造を試作することに専念した.流路およびカバーは,耐薬品性が高いこと,陽極接合を行えることから,ガラス材料を用いることにした.流路の形成には,ふっ酸によるエッチング工程があるため,単純なレジスト保護ではうまく加工出来ない.クロム・金薄膜を上手く使うことにより,エッチングを可能とした. 上記のように,本年度は次年度へ向けての基礎的準備を進めた.
|