2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19686016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 拓司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20313728)
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Keywords | 生体流体力学 / 計算生体力学 / 血液 / 微生物 / サスペンジョン / レオロジー / 境界要素法 / ストークス流れ |
Research Abstract |
2008年度は、微生物を含む大規模な細胞溶液シミュレーションを実施した。申請者は境界要素法と、粒子表面の力をモーメント展開するストークス動力学法を合わせた新しい手法を提案しており、微生物に関しては216体の多体干渉解析に成功した。この手法は、J.Fluid Mech.に1編の論文として掲載された。また、微生物が集団で作り出す様々な遊泳パターンが、本研究課題で構築された流体力学モデルで表現できることを、世界で初めて示した。この成果は、アメリカ物理学会の最高峰誌であるPhysical Review Lettersに掲載され、世界中の注目を集めている。本年度は、この手法をさらに高速化させ大規模な計算を行うことを試みた。現時点では、計算精度を保ったまま2000体の多体干渉解析に成功している。さらに、申請者は微生物溶液中のマクロな物理量である、粒子応力テンソル、細胞の自己拡散テンソルを解析した実績を持っているが、本年度はその成果を勾配拡散テンソルにまで拡張している。 また、赤血球溶液に対する実験的研究も精力的に行い、バイオメカニクスの分野で最高峰のJ.Biomech誌に2編の論文が掲載または掲載予定である。これらの研究では共焦点マイクロPIVシステムを用い、高ヘマトクリット血液中を流れる個々の赤血球の挙動を解明することに成功した。さらに、赤血球の計算モデルも開発中であり、本年度は4編の国際会議論文を発表している。こうした数値シミュレーションには、本科研費で購入した並列計算機システムを使用した。 この他にも、微生物遊泳や赤血球の挙動に関する細胞レベルの実験、解析を行い、査読付英文雑誌論文に14編、国際会議論文にも多数の論文を公表している。また、国際会議における基調講演、招待講演なども行い、研究成果を広く世界に発信した。
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Research Products
(19 results)