2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高周波対応高機能ハイブリッドナノクラスターの創製
Project/Area Number |
19686020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 智之 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (50372305)
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / コアーシェル / ハイブリッド / 自己組織化 / 高周波デバイス |
Research Abstract |
GHz帯域に対応した低損失配線ボード基板材料およびワイドバンド/マルチバンドアンテナ材料への応用を念頭に、Fe、Coおよびそれらの合金を中心とした遷移金属をナノ粒子化し、各種機能を有するコアーシェル型ハイブリッドナノクラスターを誘電体中に凝集なく均一に分散させた高機能磁性ナノ粒子/誘電体ハイブリッド材料の開発を行う。本年度は、高密度均一分散ハイブリッドナノクラスター集合体形成技術のひとつとして、シェル層厚の均一かつ極薄化制御を行った。コア粒子として、粒径5.0nm〜15.0nmまで粒径制御した均一粒径マグネタイトナノ粒子を用い、逆ミセル法を用いてシリカシェル層を形成した。主に、反応溶液総量に対するシリカ層原材料の濃度と反応時間の最適化によってシリカ層厚の制御を試みた。原材料の希薄濃度および長時間合成により、7.5nmコア粒径を有するマグネタイトナノ粒子の周囲に3.0nm、8.0nm、12.0nmまで均一にシェル層厚を変化させたコアーシェル型ハイブリッドナノクラスターの合成に成功した。また、零磁場冷却後および磁場中冷却後の磁化率の温度依存性の詳細な検討から、ブロッキング温度はシェル層厚に依存し、シェル層厚の減少に伴い高温化することが分かった。これは、マグネタイトナノ粒子間で働く磁気双極子相互作用によって磁化反転に要するエネルギー障壁が実効的に増大していることを意味している。磁気双極子相互作用の存在は、零磁場中冷却後の磁化にメモリ効果が観測されていることからも支持され、高密度均一分散ハイブリッドナノクラスター集合体の磁気特性が孤立した超常磁性ナノ粒子とは異なる振る舞いを示すことを示唆している。
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