2007 Fiscal Year Annual Research Report
高強度・高導電率を目指したバインダーフリーカーボンナノチューブ繊維の開発
Project/Area Number |
19686038
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 義倫 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 助教 (30374995)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / カーボン材料 / バインダーフリー / 繊維 / 固化体 / 高強度 / 高弾性 / 高導電率 |
Research Abstract |
放電プラズマ焼結法により温度(1000℃)・圧力(80MPa)の下で、フッ素で修飾された多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を焼結し、脱フッ素により活性化した炭素を持つナノチューブ同士を共有結合させることにより、MWCNTs固化体の作製を行った。 MWCNTsはNano Lab社製のCVD法で合成された純度80%ものを使用し、高純度にするために申請者が開発した精製方法(Y. Sato et al, J. Phys. Chem. B,105,3387,2001)により、高純度MWCNTsを調製した。精製されたMWCNTsを窒素ガスで希釈した20%フッ素ガスでフッ素化を行い、フッ素化MWCNTsのフッ素被覆率はF/C値0.25を基準として調製した。放電プラズマ焼結法は、グラファイト製ダイ・パンチ型内に充填した粉末に直接パルス電気エネルギーを投入し、発生するプラズマでの高エネルギーと焼結ダイの抵抗加熱することで、粉末を固化することが可能である。本実験では、外径50mm、内径20mm、高さ50mmのグラファイト製ダイにフッ素化MWCNTsを入れ、1000℃、80MPa、保持時間10分で行った。得られた固化体は最終的に4000番の研磨紙で研磨し、構造と特性を評価した。脱フッ素化による固化体は、3点曲げ強度125MPa、ヤング率15GPa、電気導電率1.0×10^2S/cmであり、従来の市販されているグラファイトの3から4倍の強度を持つことが明らかになった。これは、脱フッ素により活性化した炭素を持つナノチューブ同士の共有結合により、高強度のMWCNT固化体を作製することが可能であることを示している。この成果はアメリカ化学会の雑誌ACS Nanoに掲載され、高い評価を得ている(Y. Sato et al, ACS Nano2,348-356,2008)。次年度では、この脱フッ素化を利用し、MWCNT繊維をフッ素化し、脱フッ素化することで強靭なMWCNT繊維の作製を行う。
|