2007 Fiscal Year Annual Research Report
非Pd系水素透過合金の強加工による組織の異方化と高性能化
Project/Area Number |
19686040
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 和宏 Kitami Institute of Technology, 工学部, 准教授 (10312448)
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Keywords | 水素透過 / 組織制御 / 複合化 / 耐水素脆化性 / 共晶組織 / 圧延・熱処理 / 異方性合金 |
Research Abstract |
Nb40Ti30Ni30合金は鋳造状態で塊状の(Nb, Ti)相と共晶{TiNi+(Nb, Ti)}相からなるが、熱処理・加工条件を変えることで、様々なミクロ組織を作製できることが分かった。まず、熱処理を行うことで共晶組織が消失し、TiNi相中に(Nb, Ti)相が分散した組織となる。この場合でも特性悪化や脆化の原因となる脆い金属間化合物相は生成せず、高い水素透過度と耐水素脆化性を示す。圧延率が低い場合は、初晶形状はほとんど変化せず、水素透過度の改善効果も低い。しかし、圧延率が90%を超えると、(Nb, Ti)相が圧延方向に著しく伸展した異方性組織を形成する。(Nb, Ti)相の伸展方向およびそれと垂直方向に水素透過を行ったところ、前者の透過度は鋳造合金の7倍程度に増加するが、後者の透過度は1/10程度に減少する。すなわち、水素の透過方向で70倍程度の差が生じ、水素透過にも異方性が生じることが分かった。いずれの場合も523Kまで破壊することなく水素透過が可能であり、良好な耐水素脆化性を有しているといえる。 合金を透過する水素の流束は、(1)水素透過度と(2)膜前後の圧力差とともに増加し、(3)膜厚に反比例する。高い水素透過流束を得るために上記(1)〜(3)のパラメータを変えて水素透過試験を行ったところ、膜厚100μm、入口側圧力0.9MPa、出口側圧力0.1MPaの条件下で、70cc/cm2/minを超える水素流量が得られることが明らかとなった。この流量は純Pdの4倍以上である。以上より、Nb-TiNi合金の組織制御により、高い水素透過度と耐水素脆化性を両立する合金の作製が可能であり、実用材料への応用が期待される。
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