2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガラステンプレートを用いたナノワイヤー構造熱電変換素子の開発
Project/Area Number |
19686041
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長谷川 靖洋 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60334158)
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Keywords | 熱電効果 / ナノ構造 / ガラステンプレート / 量子効果 |
Research Abstract |
専用の石英ガラス製のテンプレートを新たに開発し、ワイヤー直径数百nm,長さが1mm以上の石英ガラス封入型単結晶Biナノワイヤー熱電変換素子の開発に成功した。1mm以上の長さを持ち素子の両端に充分な温度差を付けることができることと、ワイヤー直径と長さの評価が可能であることからゼーベック係数,抵抗率の同時測定が世界で初めて可能となった。ナノワイヤー素子の温度依存性は、バルク素子のそれとは全く異なる。この依存性を理論的に説明するため、ナノワイヤー中を移動するキャリアがテンプレート表面で散乱を起こすことによって平均自由行程が制限され、キャリア移動度が変化するモデルを提案した)。その結果、mmサイズからnmサイズまで、物性値の一つである移動度は連続的に変化しており、抵抗率のワイヤー直径依存性は平均自由制限モデルで定性的・定量的に説明することができた。さらに、BiのL点バンドにLaxモデルを適応し、有効質量テンソルを使った計算モデルに拡張子、抵抗率,ゼーベック係数の温度依存性について詳細を調べ、結晶方向依存性が物性値に大きな影響を与えることを明らかにした。また、4.2Kでのシュブニコフド・ハース振動を測定することによって、低温でのフェルミエネルギー,キャリア密度を計算することができた。その結果より、ナノワイヤーは単結晶であり、また心配されていた不純物の影響もほとんど無視できることも明らかになった。しかしながら、作製された直径300~700nmのナノワイヤーでは、量子効果の導入は確認されておらず、本研究で準備された直径100nmを下回るナノワイヤー熱電変換素子の開発を続けていくことを予定している。
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